愛蘭土の林檎の木の下で

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新しい和食ワークショップの試み

前の投稿から早一ヶ月。
採集してきた海藻のことを書くといいながら、まとめきれないままに
時間が過ぎてしまいました。
今日は、それはちょっと置いといて、こちらで新しく始めることにした、
和食ワークショップの試みについての文章を転載します。
在愛日本人向けのものなのですが、私の食に対する考え方や、
ワークショップのコンセプトなどが伝わるかと思いますので、
日本からこのブログを見てくださっている方でも、興味があれば
どうぞ読んでみてください。
長くて面倒くさい文章ですが、そこはご容赦を。

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在愛日本人の皆様へ

急に寒くなってきましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。
今日は、日本人向けの新しい料理教室のお知らせですが、長ーい文章ですので、
ご興味のない方はどうぞ、ここで読むのをやめてください(笑。
読まれる方も、お時間のある時のほうがいいかもしれません。

私は子どもの手が離れてきた頃から、京都で友人とhappytableを立ち上げ、
料理教室を主宰し、食に関わる仕事をしていましたが、
5年前にアイルランドへ移り、2年ほど前からは和食に絞って、デモンストレーションやセミナーを
開催するなどの活動をして来ました。
また、こちらへ移ってからはじめたブログも細々と続けてきました。

今年3月の味噌作りワークショップを始めたことから、ネットワークが一気に広がり、
仕事の機会もいろいろといただけるようになりました。
和食の教室をという、日本の方からの声もお聞きするようになり、
2年ほど前からぼんやりと頭にあった日本人向けのワークショップのアイディアが、
ようやく形になってきました。

ひと言で表現するなら、和の家庭料理の研究会のような、料理クラブのような感じでしょうか。
私が教えて参加者が学ぶというよりは、皆で教え合い、学び合うような、皆でいろいろと
食べ方の実験してみるようなイメージ。
私は場をセットアップし、料理の好きな先輩として、またはオブザーバーとしてすすめます。
時にはちょっと厳しいおばちゃんになるかもしれません。

そして、普通の料理クラスと違うこと、それはレシピがないこと。
私が作るのを見てもらったり、また皆で作る中で、自分でメモを取ってもらい、
うちへ帰って復習して、自分なりのレシピを作って欲しいからです。
長年料理を教えてきて、レシピを作るということに対して、ずっと疑問を感じてきました。
もちろん、ベーキングなどには、黄金率のようなものもあります。
伝統的な料理には、大切なポイントなどもあるでしょう。
でも、醤油とひとくちにいっても、各メーカーの醤油によって、塩分や甘み、そして何より大切な
旨味もそれぞれ違います。
私には考えられませんが、最近は甘味料入りや、色素を配合している醤油も出回っています。
塩だって、自然塩と精製塩とでは含まれる塩分量が違いますし、産地によってミネラル量もさまざま。
同じ野菜でも、それぞれの持つ甘みや苦みが全然違ったり、火の通り方も同じではありません。
レシピはあくまでも目安であって、大切なことは、いかに目の前の食材と向き合い、想像力を働かせて、
どう自分の味に料理するか。レシピ通りに作ることではありません。

家庭で、家族のために毎日作る料理で一番大切なことは、その家庭の味を作ること。
いちいち計量なんてしなくても、目分量でぱぱっといつもの味、家族が喜ぶ味を作れることだと思います。
そのためには、食材を選び、使う調味料を知り、基本の技術を身につけ、ちょっとしたコツを知り、
それらを自由に使いこなせるようになることが必要です。

さらに海外で生活していると、日本にいるのと同じように料理できないこともたくさんあります。
日本では当たり前の和食がここでは当たり前ではなく、日本ではいつでもどこでも買える食材を買うために、
特別な努力をしなければならないという環境の中、日本と同じように料理するのは並大抵ではありません。
かと言って、必要な食材を全て日本から送ってもらう、なんてことも普通では不可能。

私もアイルランドに来た頃は、醤油ひとつとっても、キッコーマンとヤマサ醤油しか
手に入らないのを知り、日本で使っていた醤油との品質の差にショックを受け、
途方に暮れたものです。
でも今ではそれも当たり前のことになりました。
そんな限られた条件の中でも、おいしい和食を食べたい、
家族に食べさせたい・・・そんなことを望む在愛日本人に向けてのワークショップです。

私がこの5年間にアイルランドで試行錯誤してきたこと、
そんな中で今ではすっかり定番になったこと、
おいしい和食を作るコツを伝えたいと思っています。
日本にはない、こちらの野菜をアレンジすれば、普通のお店で買える食材で、
ここでしか味わえない和食を作ることも可能です。
市販の調味料がなくても、自分で合わせて作ってしまう。
自然の旨味を生かせば、化学調味料や添加物が入らない、おいしい調味料ができます。
やっていく中では、私がアイディアをもらうことも、きっとたくさんあるはず。
そう思うとわくわくします。

インターネットの世界も広がり、料理本も次々と出版され、本物もなんちゃっても含めて、
メディアに登場する料理家(料理人、料理研究家)と呼ばれる人も五万といて、
使い捨てのようにどんどん現れては消えてゆき、レシピもピンからキリまで
星の数ほどあるこの時代。
今や料理家がレシピを売る時代ではないと思っています。
レシピなんて、ネットでちょっと検索すれば、数分で何種類も見つけられるんですから。
でもレシピだけ、映像だけでは伝わらないことがあるのも事実。
ちょっとしたコツを体験したり、何よりも実際に自分の舌で味わうことは
実習でしかできないことです。

ここまでぐだぐだと書きましたが、参加者にとってはかなり面倒くさい
ワークショップになると思います。
今、自分で書いて気がつきましたが、私の料理ははっきり言って、面倒くさいです。
出しもちゃんと取り、出しをとった後の昆布ももったいないので佃煮にしたり、
刻んで料理に入れちゃいます。
魚をさばき、お揚げだって作ります。

でも5分で作れるきんぴらなど、パパッと作れるものもある。
スローでファスト、シンプル。
そして面倒臭さも報われるおいしさ、それが目指すところです。

そして、このワークショップもやはり『一汁三菜』と名付けようと思います。
和食の食べ方の基本を忘れないようにとの思いから。

教えてもらおうではなく、一緒に学ぶワークショップ。
ちょっと面倒くさいけど、作ること、食べることを楽しむワークショップ。
こんな私の考えに賛同してくださる方、ぜひご参加ください。

固定のクラスを作らず、各回、自由参加とします。
お友達にもお知らせくださるとうれしいです。

19日(火)、24日(日)、26日(火)各11時から2時頃の予定。
ご希望日をお知らせください。各回定員4名です。
費用は35ユーロ(材料費込み、特別素材の時は、別途ご負担をお願いすることがあります)

最後にもうひとつ、長くなりついでに。
私は京都では主にヨーロッパのお料理、パンや簡単なデザートのクラスを
10年近くやっていました。
その頃に作りためたレシピが何百とあります。
せっかくアイルランドに住んでいる間に、和食ではなく、
西洋風の料理やパン作りを学んでみたいと思われる方がありましたら、
そういうクラスを設定することも考えています。
こちらのほうをご希望される方がありましたら、合わせてお知らせください。
お問合わせやお申し込みなどは、Info@ichijusansai.com まで。

これで本当におしまいです。長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。
では、どうぞよろしくお願いいたします。

尚、Facebookユーザーの方は、"Ichiju Sansai"ページでも情報をごらんいただけます。
こちらも合わせてよろしくお願いします。
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by happytable-eire | 2013-11-15 23:59 | Workshops | Comments(0)