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愛蘭土の林檎の木の下で

granna.exblog.jp

Chapter One

ちょっと忙しい日が続いているうちにあっという間に一週間が
経ってしまいましたが、5月19日は私の誕生日でした。
今年はキリのいい歳になったでので、ちょっと奮発してもらい、
アイルランドに5つある、ミシュランガイドの星を獲得している
レストランのひとつ「Chapter One」でランチをしてきました。

こちらへ来て3度目の誕生日ですが、過去2年は運悪く夫が仕事で
アイルランドにいなかったので、二人で食事に出かけられず、
今年こそはと思っていました。
どこにするか決めかねていたところ、Irish Timesについてくる
The Gloss magazineの5月号に「Chapter One」のレビューが
出ていて、それを読んですぐに予約しました。
そのフードライターは「アイルランドで一番スタイリッシュな
レストラン」と評しています。
褒めるだけのレビューもあるので、全面的に信頼したわけでは
ないのですが、以前から気になっていたレストランだったので、
背中を押された格好となりました。
本当ならディナーに行きたいところですが、今回はランチでお試し。

ただ、このレストランのロケーションは、決していいとは言えません。
ダブリンの中でも、ちょっと気をつけて歩きたいようなエリアです。
それでも、これだけ人気があるのにはそれなりの理由があるはず。
ましてや路面に面していない、地下なのですが、一歩店内に入ると、
そこはもう別世界。
古い建物を生かしながらもモダンな造りがシックな雰囲気を醸し出して、
すっと落ち着きます。

ウェブサイトには出ていませんでしたが、ランチにもTasting Menu
がありました。
お店のおすすめ料理を小さめのポーションで全6皿と、食後の飲み物と
小さなお菓子のコースで45ユーロ。
ワインも料理に合わせて選ばれたものをハーフグラスずつという、
ワインテイスティングメニューにしました。
量から考えると割高かもしれませんが、料理にぴったりのワインを
頂けるという意味では、お得なチョイスだと思います。

さて、お料理はこちら。
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Pea soup with creme fraiche dumplings
(エンドウ豆のスープ、クレムフレイシェのダンプリング入り)
エンドウ豆が軽くてさわやか。ダンプリングは、口当たりも軽く、
口の中でふわっととける感じ。

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Parfait of Ardsallagh goats cheese with spring vegetables and olive oil, apple balsamic vinegar
(Ardsallaghの山羊のチーズのパルフェ、春野菜とオリーブオイル、アップルバルサミコ酢のジュレ添え)
山羊チーズのくせを生かしながらも軽い口当たり。まわりに黒く見えるのは、
イカスミで染めたパン粉。これもいいアクセントになっていました。

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Cured organic seatrout, leek and mandarin vinaigrette, hazelnuts and cold pressed rapeseed oil
(サーモンの塩漬け、リークとマンダリンのコンフィのビネグレット、ヘーゼルナッツ、低温絞りの菜種油)
本来はシートラウトなのですが、切れていてサーモンに代替。
風味がしっかりした上質の菜種油ですが、少し重く感じました。

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Haunch of Veal poached in Madeira, Fergusons smoked baconcooked with yeast, watercress puree and sauce blanquette
(マデイラ酒でポーチした仔牛の腰肉、Fergusonのスモークベーコン、
ウォータークレスのピュレと白いソース)
マデイラ酒のふわ〜っと甘い香りがただよって、それだけで幸せな気分に
なりました。
お肉がとろけるように柔らかく、カリッと焼いたベーコンがいいアクセントです。
お肉は低温で17時間ポーチしているそうです。

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Chcolate Mousse with Mandarin powder and gelée
(チョコレートムース、マンダリンのジュレとパウダー添え)

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Chilled fermented plum consommé with lemon shortbread and crème fraiche ice cream, apple balsamic vinegar meringue
(発酵させたプラムの冷たいコンソメ、レモンショートブレッドと
クレムフレイシェのアイスクリーム、アップルバルサミコ酢のメレンゲ)
このデザートは絶品でした。発酵させているせいか、酸味の中にも旨味があり、
甘みとのバランスが絶妙。
アイスクリームのボートになっているショートブレッドも、メレンゲも、
ちょっと酸っぱく、さまざまな酸味のハーモニーでした。

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Tea/Coffee – Petit Fours
(紅茶/コーヒー マカロン3種-ミント、レモン、柚子、
Jamson のダークチョコレート、オレンジジェリーミルクチョコ)
マカロンは軽さに欠け、ちょっと残念でしたが、チョコレートは贅沢なおいしさ。
このレストランの建物が、1780年にJamson whiskey を創立した
John Jamson所有の建物だったことにちなんでいるのでしょう。
ウィスキーの香りがそのまま閉じ込められていました。
そして、コーヒーのおいしさは最高でした。
私は普段ほとんどコーヒーは飲まないのですが、夫が感動していたので
一口もらったら、こんなにおいしいコーヒーは初めてと思いました。


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あと、とても気に入ったのがこのティーポット。
シェフがフランスの蚤の市で見つけてきたものだということです。
何ともいえない可愛らしさ。これ、欲しい〜

各お皿の量は多すぎずいい感じですが、これだけの皿数を
全部頂いたら、お腹はいっぱいになりました。
さすがにどのお皿も洗練されていて、細かいところまで凝った
食材が使われていますし、旬の食材もふんだんに使われています。

あと、これもとても重要な要素だと思いますがサービスが
とてもよかったこと。きちんとしているのに堅苦しくなく、
お料理の説明などもしっかりしています。

昨年の6月にフランスへ研修旅行に出かけたときのメイン
イベントは3つ星レストラン“Lameloise”での食事だったの
ですが、その時にもサービスの素晴らしさが印象に残りました。
英語での会話ははもちろんOK、身のこなしはスマートでそつなく、
笑顔を絶やさないサービスは好感度抜群。
ついチップをはずみたくなりました。
あれが完璧なサービスというものなのだと知り、これでこそ
ミシュラン三ツ星の貫禄なのだと思いました。

実はこの前日にアイルランド訪問中だった英国女王を迎えての
晩餐会がダブリン城であったのですが、その料理を担当したのが、
この"Chapter One" のシェフRoss Lewisでした。
また昨日にはThe Restaurant Association of Irelandの投票でも、
3年連続ベストレストランに選ばれたと発表されました。

私たちがいただいたサーモンは、ひょっとして前日の晩餐会で
使われた食材と同じだったのかも、と思うだけでもちょっと特別な気分。
特別な日にはこんな贅沢もいいものだなあ、と幸せ感もたっぷり
味わえました。
次回はぜひ、ディナーに行きたいものですが、ディナーだったら
3コースでお腹一杯になりそう。
by happytable-eire | 2011-05-27 23:59 | Life in Ireland