愛蘭土の林檎の木の下で

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春庭良

日が長くなって、お天気のいい日の午後遅くから
日が沈むまでの数時間は、西日が差し込んで、
とても明るく、気持ちがいい。
こういうときは、キッチン仕事が楽しくなります。
土曜日の英語版日本食入門クラスを控えて、キッチンを掃除。
自然光で十分に明るいのもあって、仕事もはかどります。

一段落して、ちょっとティータイム。
京都からのお土産の『大極殿』のカステラを一切れ、いただきました。
『大極殿』は四条高倉を上がったところ、大丸のすぐそばのお店。
子どもの時からきっと何百回もそこを通ってて、
私にとっては、もうそこにあるのが当たり前で、その場になじみ過ぎてて、
空気のようになっているお店です。

ちょっと余談ですが・・・
デパートも今では京都にも数あれど、京都の人はなぜか、
『大丸』に対して特別な感情を持っています。
いや正確には、そういう人が多い、かな。
何や知らんけど「大丸」でないとあかん、という人が多いんです。
実際、贈答品などは、中身は何でも、大丸の包み紙やったら
失礼にあたらへん、とかよく言われます。
京都で生まれ育った私にも分からない感覚なんですが、
確かに、子どもの時はデパートに行く=大丸に行く、でした。
これが、京都人の変なこだわりなのかもしれません。

さて、その大極殿のカステラ、久しぶりに食べたのですが、
なつかしい味に思わずため息が出ました。
カステラって、癒し効果大のお菓子だと思います。

しっとりとした生地にフォークを入れると、もっちりと
押し返してくるような弾力を感じながらも、すっと切れ、
そして口へ運ぶと、卵の味が口に広がります。
しっかり甘いけれど甘すぎず、しっかりした焼き目の香ばしさが
何とも言えません。
原材料は卵、砂糖、小麦粉、水飴、蜂蜜、味醂、トレハロース。
甘味の元が砂糖以外にも何種類も使われているのが、
このしっとりさと、奥行きのある甘みの秘訣なのかも。

また、包装紙が大正時代に使われていたものの復刻版だそうで、
レトロシックでいい感じ。
今見るとノスタルジーをかき立てられる図柄ですが、
大正の頃には、きっとモダンでおしゃれだったんでしょうね。

添えられていた可愛いカードは、オレンジ色と水色の
これまたレトロポップな図柄。
その中に書いてある言葉に、ほお〜っと感心してしまいました。
 粕亭良
 加寿天以羅
 佳州帝良
 春庭良
これ全部、漢字で書く「カステーラ」だそうですが、
「色々とありますが大和言葉の裳い豊かな『春庭良』と致しました」
と書いてあります。
音に意味をのせられる日本語っていいものですね。

カステラはもともとポルトガルから伝わったお菓子を元に
日本で独自に発展したお菓子だそうです。
これを和菓子とするか、洋菓子とするかは難しいところ。
西洋から伝わったという意味では洋菓子ですが、
乳製品や油脂を使わないし、もともとのお菓子から
日本で発展したそうなので、和菓子といえる気もします。

でも、カステラには牛乳が一番合うと思うのは、私だけでは
ないと思います。
子どもの頃から、カステラを食べる時にあわせる飲み物は
牛乳以外考えられませんでした。
最近は牛乳をそのまま飲むこともほとんどなくなったので、
お茶でいただきましたが、そんなことも思い出しました。

また、カステラで一番おいしいのは、敷き紙にべったり付いてて、
香ばしくカラメライズされた部分、ですよね。
子どもの頃は、お行儀が悪いと叱られながらも、
紙についてるのを歯で削り取って食べるのが、
カステラを食べるときの何よりの楽しみでした。

あと、カステラといえば端切れがおいしいんですよね。
うちの近所のお店で、よくお遣いものに利用していた
「越後屋多齢堂」では、買うとおまけにつけてくれるのが、
端切れの入った小さな箱。
これがおいしくて、またおまけにつけてくれるというのが
うれしかったものです。

お土産のカステラから、いろんなことが思い出されました。
カステラなんて、ありがたみも感じない時期もありましたが、
絶対にあきないからこそ、長く長く愛されるお菓子であることは
間違いありませんね。
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by happytable-eire | 2013-04-26 23:59 | ・Japanese | Comments(4)

春の色と自然を食べること

ダブリンは、2月が暖かくてもう春が来たかと思ってたら、
猛烈な寒さが戻ってきたのが3月の半ば。
そこから雪まで降ったりする始末で、からだにこたえました。
雨や風の強いが続き、気候も不安定で気温もなかなか上がらず、
気が滅入ったものですが、やっと終わりを告げてくれたようです。
先週は嵐のような日もあったけれど、ここ数日は春らしい、
明るい日差しの日が増え、暖かくなりました。
昨日など、街ではTシャツ1枚やタンクトップで歩く人まで見かけ、
まだ分厚いコートの人とのコントラストも面白い季節です。

昨日は友人一家に便乗してHowthへ行ってきました。
ここ数日急に暖かくなり、もうそろそろわらびも顔を出す頃かと
思っていたところへ誘ってもらったので、喜んでついて行きました。
目的はワイルドガーリックとわらび摘み。
2週間程前にも友人とHowthへワイルドガーリック摘みに
行ったのですが、その時は、わらびは全然出ていませんでした。
冷え込みが続いて、土の中で凍えていたのでしょうか。

Howthの Deer Park Hotelの裏手の道を少し登って行って、
ちょっと開けたところに出たら、そこは一面ワイルドガーリック。
ワイルドガーリックの間に小道ができているような感じ。
日当り加減で、花になる茎が伸びて少しかたくなっているのも
ありましたが、まだ出たばかりの若い葉っぱもあって、
袋にどっさり摘みました。まだしばらくは、若い葉が収穫できそう。

その後ゴルフコース沿いに森を分け入って行くと、
大きく開けた場所に出て、そこは一面わらびの枯れ草だらけ。
間違いなくここでわらびが収穫できそうなのですが、
やはりまだ早いのか、全然見つかりません。
あきらめかけたところへ、日陰になる土手に見つけました!
まだ顔を出したばかりの5cm程のわらびです。
まだ若いのに堅い茎もあって、収穫できたのはほんの少しですが、
何とも言えない色が春を感じさせます。
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このわらびの色を日本の色事典で調べて見ると「鶸萌黄」が
一番近いように思います。
鶸(ひわ)は鳥の一種ですが、黄緑系のこの色は、
『萌』という字が入ることからも、新緑の色の一種なのでしょう。

わらびはアクが強いので、重曹を加えて茹で、水に取って
一晩置いておきました。
このアクの加減は、採れる場所や年によっても違います。

そして今夜、薄めに味つけただしでさっと煮て、卵でとじて
いただきました、
採れたのもひとつかみしかなかったので、一人分だけ。
私が独り占めで堪能しました。
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ワイルドガーリックは前回たっぷり摘んで来たので、
餃子、炒め物、おひたし、ペストソースと堪能しましたが、
また昨日たっぷり摘んだので、楽しみはまだ続きます。
こちらは驚くほどアクがなく、ガーリックの匂いは強いけれど、
にんにくそのものとは違い、香りを楽しむ感じです。
こちらの色は、鮮やかなグリーン。
ペストにするとより鮮烈な緑色になります。

考えてみると、私はこういう自然に生えているものを探して、
採ってきて食べるのがとても好きです。
これは小さい子どもの時からそうでした。
わが家のゴールデンウィークの頃の恒例行事だったのが、
丹後の祖母の家へ行き、そこから丹後半島のもっと山奥の方まで
車で出かけて、山蕗を摘みに行くことでした。
それこそ車のトランクに一杯になるくらい採ったものです。
帰ったら葉っぱを取り、洗ってゆでて、祖母が大鍋一杯の
佃煮にしてくれたのです
そして残った分は塩漬けにして、佃煮一年分用の蕗を保存していました。

また近くの親戚の家の裏山へは、筍とゼンマイを採りに行きました。
ゼンマイは祖母が茹でて干して、保存用にしてくれました。
またたらの芽も、山で見つけたら採ってきて天ぷらにしたものです。

採ってきてから食べられるようにするには、洗うのも、ゆでるのも、
結構な手間がかかります。ハッキリ言って面倒です。
でもそれをすることで、素材に近づくような感じもします。
そういう手間もひっくるめて楽しめなくては、こういうことは
できませんけれどね。

アイルランド生活では、ワイルドガーリックとわらびは、私にとっての春の象徴。
桜よりも、水仙よりも、季節が巡るのを色と味で感じさせてくれる、
大切な自然の恵みです。

(以前のわらびに関する記事はこちら、
「アイルランドのわらび」 「Wicklowのわらび」 「春の味、春の香り」
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by happytable-eire | 2013-04-21 23:59 | Life in Ireland | Comments(0)