愛蘭土の林檎の木の下で

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砂糖漬け野菜入りパウンドケーキ

先日のお客様の時、デザートというよりお茶うけに出したのが、
砂糖漬け野菜を焼き込んだパウンドケーキ。
日本から帰る時に大阪の友人がくれたお土産が、大阪八尾市にある
『桃林堂』というお店の『五智果』という野菜と果物の砂糖漬け。
見事に砂糖漬けにされた野菜や果物が、細長い箱に美しく
パッケージされ、何となくもったいなくて開けられないままに
いました。
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もったいなかったのもあるのですが、このままいただくよりも、
この美しさと野菜の風味を生かせないかと考えて、
ケーキに入れてみようかと思いついたのでした。
まったくの思いつきで、ちゃんと味の想像がついたわけでは
なかったのですが、思いついたからにはトライしてみなくては。
『五智果』の内容は季節によって変わるようですが、
いただいたのに入っていたのは、蓮根、蕗、ごぼう、人参、生姜、

洋梨、金柑、オレンジ、いちじくでした。
特にいちじくはしっとりと柔らかく、干しいちじくとはまったく違う、
初めての食感。見事に和菓子になっています。

それぞれを味見して、バランスを考えて、金柑といちじくは残し、
その他のを1cm角くらいに刻んで、シンプルなパウンドケーキに
加えて焼き込みました。
バター、砂糖、卵、粉が同量ずつの基本的なレシピですが、
砂糖はソフトブラウンシュガーで、砂糖漬けの甘みも考えて
やや控え目に。
あまりフワフワとしたケーキにはしたくなかったので、
粉にはベーキングパウダーは加えずに、バターと砂糖を合わせた
ところに空気をしっかり含ませて、焼きました。
また、焼き上がった後はホイルに包んで、野菜の風味を生地に
移すようにしてみました。

さて出来上がりは、切り分けた時の人参やオレンジの赤や、
蕗の緑など、自然の色合いがきれい。
それぞれの野菜の主張は強すぎず、でも食べた時になんとなく
野菜の風味がやさしく感じられます。
ごぼうはアクがきれいに抜かれ過ぎてて、せっかくの強い風味が
消えていたし、洋梨もあまり何かわからない感じでしたが、
他のと一緒になると、それぞれの味と風味が相互作用し合うのか、
全体に不思議とまとまった味の、和風のケーキに仕上りました。
指でつまめるくらいの大きさに切り分けて、朱塗りのお盆に
盛りつけたら、とても上品。

『五智果』とは五つの色も意味するようですが、まさにその名通りの
仕上がりでした。
こんな贅沢なケーキ、なかなか焼ける物ではありませんが、
野菜の砂糖漬けの良さを十分楽しめたと思います。
このケーキ、2日目のほうがしっとりと全体の味がよりなじんで、
野菜の風味ももっと楽しめました。

「大阪にはこれ、というお土産がなかなかあらへんのんやけど」と
言いながら、これをくれた友人に感謝。
いえいえ、日本の和菓子の職人技を感じさせる素敵な一品でした。
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by happytable-eire | 2012-10-31 23:59 | Baking | Comments(2)

自家製味噌を開けた後の楽しみは・・・

さて、先日開けてみたお味噌。
酒粕で蓋をしていたと書きましたが、これは酒粕の殺菌効果で
カビを防いでくれる効果があるようです。
いつもというわけではありませんが、酒粕があれば使っていました。
今回はたまたま日本から送ってもらって残っていて、かなり色も
変わっているのがあったので、それを蓋にしておきました。

この酒粕の蓋をするのは、もう一つおいしい点があります。
というのは、出来上がったあとの酒粕で作るお汁が、
めちゃくちゃおいしいこと。
味噌は熟成する過程で、必ず水分が上がってきます。
これはいわゆるもろみで、麹の旨味がぎゅっと詰った
おいしい液体なのですが、酒粕がそれを吸ってしまうので、
酒粕の旨味がグンと増すことになります。
それを溶いて作ったお汁は、味噌汁と粕汁の両方のおいしさを
併せもったお汁になるというわけです。

金曜のお昼にはお客様があったので、この酒粕で具だくさんの
豚汁をお出ししました。
ターナップ、人参、パースニッップ、リーク、韓国食品店に
あった里芋をたっぷり、その他冷蔵庫に残っていた切れ端の野菜も
全部と豚バラの薄切りをなたね油でよく炒めてから水を加えて煮て、
味噌の蓋をしていた酒粕とお味噌をバランスよく入れて仕上げます。
新味噌の風味をストレートに味わって欲しかったので、出汁はなし。
でも昆布やかつおの旨味も必要ないほど、いいコクが出ていました。
たっぷりの野菜と味噌と粕だけで、信じられないくらいおいしかった。
なんというか、からだ中が満たされる感じがしました。
まったくの手前味噌なのですが、お客様にも喜んでいただきました。
朝から冷たい雨の降る日でしたが、しっかり温まりました。
あとは栗ごはんとお惣菜数品、豚肉の塩麹漬けをグリルしたもので
秋らしい食卓になりました。

栗は韓国食品店で500gほど買いましたが、2ユーロちょっとでした。
皮を剥くのだけは手間がかかりますが、あとは塩とお酒だけで、
シンプルに。赤米を少し加えてアクセントを加えましたが、
これもなくてもよかったですね。
以前、スペイン産の栗を使って栗ごはんを炊いたときは、
栗自体は甘いのに日本の栗とは風味が違って、あまりおいしく
なかったのですが、昨年炊いたのは風味もあっておいしかった。
今年のは昨年のほどアクが強くなかったですが、日本の栗と
変わらない感じでした。

でも、その日のメインはなんといっても粕入の豚汁。
秋の恵みと初物のお味噌を友人とも一緒に味わえて、ほっこり幸せな
午後でした。
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by happytable-eire | 2012-10-29 23:59 | ・Japanese | Comments(0)

自家製味噌、その後

日本から持ち帰ってもらった生麹で味噌を仕込んだのが3月の初め。
けっこうな場所を取る容器は、夏の不在の間も友人の家に預けられ、
引越後もキッチンキャビネットの奥の隅の一画を占領して、
特別待遇を受けながら、その中で静かに静かに、麹のお仕事は
続いていたのです。

先日、一緒に仕込んだ友人から、お味噌はどんな感じと聞かれ、
そう言えば長らく様子を見ていなかったと反省。
久しぶりにご様子拝見と、しっかり封をしていたテープをはがし、
恐る恐るのぞいてみました。
そしたらなんと、驚くほどすっかりべっぴんさんのお味噌になって、
かぐわしい香りを醸し出していました。

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一番心配だったカビもまったくなく、ただただため息が出るほどの器量良しに成長していました。
もうここまで来れば安心、もう少し成熟するのを待つだけ。
まるで娘を見守る気分です。
ラップをはがし、蓋をしていた酒粕をそおっとはがすと、
何ともすっきりと輝くような黄茶色のお味噌。
米麹の粒もしっかり見えて、ちょっと田舎風。
縁の方だけは空気に触れやすいので熟成が進んでいて、
しっかりとした茶色になっています。
酒粕と色の濃い部分は取り分け、残りのお味噌はガラスジャーに
詰め替えました。
これから先は目につくところに置いて、日々その成熟ぶりを
しっかりチェックしていくつもりです。

仕込んでからもう7ヶ月以上になるのですから、もう十分に
食べられますが、もう少し熟成する方がよりおいしくなるはず。
夕食後だったのに、かぐわしい香りに誘われて、お味噌汁が
どうしても食べたくなってきました。
詰め替えに使ったへらについたお味噌をこそげてお椀に入れ、
熱いお湯を注ぎました。味噌汁ならぬ、味噌湯です。
ところが、それだけで驚くほどおいし〜い!
だしなんて必要ないと思うほど、コクがあって香り高い、
でも、どちらかというと若々しい、ちょっと青い感じもします。
一杯のお味噌汁が身体に染みわたりました。

実はアイルランドでお味噌を仕込むのには心配もありました。
なんといっても日本と比べて気温がグンと低いので、熟成には
もっと時間がかかるのではないかと思っていました。
日本ではできるだけ気温差の少ない涼しいところを捜して、
北側の床下のコンクリートの上に直接置いていたのですが、
最近の夏の高過ぎる気温で発酵が活発になり過ぎて吹きこぼれたり、
かびがついてしまったりと、管理が難しくなっていました。
その点、アイルランドでは夏の高温時でも25度程度ですから、
夏の間の管理はまったく問題ありません。
味噌の醸造に適当な温度をネットで調べてみたものの、どうも
見つからないのですが、昔から田舎の家では蔵の中で保管して
いた事から考えると、ここの気温は案外いいのかもしれません。
この夏は特に気温が上がらなかったけれど、それでも7ヶ月で
十分に熟成していますから。

大きな味噌メーカーは、ほんの数週間で製造すると聞いた事が
あります。大規模な温度管理で、期間も調整できるようです。
最近は、小さなメーカーが二年醸造物だとか、蔵出しだとか、
ゆっくり時間をかけたのを売りにする傾向もあります。
お味噌のおいしさは手間ひまから生まれる、ということですね。

私の味噌作りの師匠の師匠、京都の使い捨て時代を考える会の
元代表だった槌田先生が、ずっと前におっしゃっていた事が
忘れられません。
先生の大学の研究室にあるお味噌は、夏の間でさえ冷蔵庫にも
入れず、仕込み容器のまま部屋に置いてある。
使うときはそこから使って、またそのまま置いておく、と。
え、そんなことできるの?と思うところですが、いい発酵をした
お味噌は大丈夫だそうです。
麹菌が他の菌を淘汰するだけの力があるのだとか。

今回のお味噌、とてもいい感じですが、まだすこし若いので、
このまま室温において、もう少しこのまま見守ってみます。
冷蔵庫で保存すれば、低温で熟成を遅らせられるので、
自分の好きな味になった時点で冷蔵庫へ入れればいいんです。
というわけで、初めてのアイルランド仕込みの自家製味噌の
レポートでした。

そうそう、最近知った話ですが、NYでは麹が『koji』として
売られていて、最近の麹ブームを受けてバカ売れだとか。
それも米国産の米で現地で製造されているそう。
アイルランドとは事情が違いますねー羨ましい話です。

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by happytable-eire | 2012-10-26 23:59 | Preserves | Comments(0)

アイルランドで手打ちうどん

前の記事から3ヶ月。
あまりに更新がないので、ご心配くださってた方、本当に
ごめんなさい。
この3ヶ月どうしていたかというと、7月はダブリンで短期ですが
大きなお仕事、8月ほぼ一ヶ月は日本で過ごし、ダブリンに戻ってからは
本格的に家探し。
毎日ネットを見て、リクエストを出して物件を見るのに4週間を費やし、
やっと引越しできたのが9月も末。
そしてそれから3週間、仕事やお客様が続く中、やっとのことで
家も片付いてきました。

ブログのことはいつも頭の片隅にありつつ、でも余裕がなく、
やっと書けるところまでこぎつけた感じです。
でも、書く余裕がなかっただけで、料理はしっかりやっています。
新しい家のキッチンは小さいながらカウンターのあるオープン型。
前と比べたらずっと仕事がしやすくなり、リビングと一緒なので、
キッチンに立つ時間が長くなりました。
まだ動線を考えながら、物をあちらからこちらへと動かしたり、
片付けものをしながらですが、とにかくキッチンが動きやすいと
いうのは、私にとっては本当に幸せなことです。

ブレッドメーカーを姉が処分するというのをもらったので、
パンを焼くのもほぼルーティンとなりました。
機械は生地作りに使うだけで焼くのはオーブンですが、
それでもずいぶん楽。
そして昨日は何年ぶりかで手打ちうどんを打ってみました。
この間から友人の宮崎さんがFBで写真をアップしたりしてて、
刺激を受けてたせい。
彼がレシピも教えてくれたので、ここはやらねば!
日本では国産の中力粉で作っていましたが、宮崎さんによると、
こちらで普通に買えるplain flourでOKとのこと。
こちらの小麦粉は日本のと比べるとグルテン量が高いので、
plainでいいのかもしれません。

昔はよく子どもに生地を踏ませて、パスタマシンでのばして
手打ちうどんを作ったものです。
子どものお友達も一緒に、みんなで楽しみました。
うどんを練るのはけっこう力がいるのですが、寝かせたら
滑らかにのびるようになるという生地の変化を見るのも、
子供にとって楽しいもの。

半分は薄くのばして細めに切り、もう半分は厚めにのばして
太めに切って、違う食感にしてみました。
初めは冷たいうどんと天ぷらの予定だったのですが、買い物中に
鴨を見て、鴨鍋うどんに決定。
鴨半羽は肉を外して、骨で出汁をとり、昆布だしと合わせて
醤油、酒、みりんに塩麹で味付け。
リーク、人参、ターナップの薄切りを炊いて柔らかくなったら、
茹でたうどん、ネギ、青梗菜と鴨胸肉の薄切りを加えてさっと煮て、
柚子胡椒をちょっと入れて、熱々をふはふはと食べました。
自分で言うのもなんですが、鴨のエキスをたっぷり吸ったうどんは
めちゃうま、絶品でした。
鴨はコクもあるし、からだもあったまります。

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手打ちうどんの太いのはもちもちと、細いのはつるつると、
どちらにしても、やっぱりうどんはずるずると、音を立てて食べないとね〜
うどんは欲を言えば、もう少しコシが欲しいところでしたが、
それは今後の課題としましょう。
手打ちのうどんは京風に「おうどん」という感じではなくて、
「うどん」の方がしっくりきます。なんとなく、ですが。

そうそう、Cork地区在住の方に朗報です。
土曜日のDouglas Court Farmers Marketに、宮崎さんの日本食が登場!
手打ちうどんも予定にあるそうですよ。お楽しみに〜

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by happytable-eire | 2012-10-23 23:59 | ・Japanese | Comments(2)