愛蘭土の林檎の木の下で

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日本料理ワークショップ in Vézénobres

またまたひと月近くお休みしてごめんなさい。

前の記事の一泊旅行の後、私事でバタバタとしていて、
そのあと、またバタバタとフランスへやってきました。
4度目の南フランス、 Vézénobres(ヴェゼノブレ)です。
今年は念願の日本料理のワークショップのために来れました。

6月12日に到着、16日の初回のワークショップまでの数日間は、
食材の調達、試作、レシピの見直しと話すことの準備と
通訳の方との打ち合わせなど、大忙し。
16日は日本食の基本である、ご飯の炊き方やダシの取り方、
そして調味料を知るための1日コースでした。
とくに調味料のワークショップは、これまでやってきたデモでは
全く伝えきれなかった、日本料理の基本である調味料を深く知って、
自由に使いこなすために考えたクラスです。
これが参加者にとても喜ばれました。
醤油、味噌、酒、みりんなど、調味料を使いこなせなければ、
料理はできませんからね。

午前中は私のデモの後、作った料理を松花堂弁当箱に詰めて昼食。
午後は調味料や日本の味についてのワークショップの後、
参加者と一緒に天ぷらを揚げて、冷たいそばと一緒に夕食。
夏らしい、日本らしい食事を楽しんでいただきました。
午前と午後の2セッションは結構きつかったですが、
とても熱心な参加者のおかげで、学ぶことがたくさんありました。
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そして第2回目のワークショップは3日コース。
日本の料理を知ってもらうためのお話と、一汁三菜の夕食にはじまり、
2日目は一日コースと同じ内容、そして3日目は実習という内容です。
日本特有のさまざまな日本の味と香りを、家庭料理を通して体験して
もらえたと思います。
この3日コースは私も初めての試みでしたが、より深く日本料理を
学びたい方にはとてもいい内容だったと思いますし、実際のところ、
そういう方が参加されていたので、満足していただけました。

実は一人の方はこの近くの Nîmes(ニーム)という街のマーケットで、
テイクアウェイの寿司屋さん“Wafu”を経営する女性でした。
日本についての知識も豊富で、その熱心さには驚かされました。
日本に憧れ、日本食に傾倒し、寿司作りの基本を習って、
後は独学でここまでやってこられただけあります。
それでも、私がお鍋で炊いたご飯や、一番だしで作ったお味噌汁を、
これまで食べた中で最高だったと言ってくれました。

今回参加者の皆さん、味覚も鋭く、醤油や味噌の味の違いも、
ちゃんと分かる方たちでした。
的確で鋭い質問が、打てば響くように返ってくるので、私も楽しく、
学ぶことも多く、素晴らしい時間を過ごせました。

実は参加者がなかなか集まらなかったので、一時はキャンセルも
考えたのですが、本当にやってよかった。
お金以上の物をたくさん得られました。
興味深い方たちとたくさん出会えて、これは何ものにも代え難い。
また、経験することが一番の財産になると実感しました。
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今年の経験を踏まえて、また来年もここへ戻ってやれたらいいなと
思っています。
ここで手に入る食材を使い、工夫を凝らして、誰にでも作れる、
日本の家庭料理を広めたいです。
日本料理を全く知らないという方でも気軽に参加出来るコースから、
深めるコースまでバラエティ豊かにするなど、工夫も必要かな。

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今回の講習メニューに加えることが出来たお料理は、ほんの数点。
その中で、焼く、炒める、炊く、蒸すなど、さまざまな調理法と、
日本特有のさまざまな味と香りを取り入れることに気をつけました。
そして調味料のワークショップでポイントにしたのが、第5の味と言われる『旨味』。
今や世界共通語ともなった『UMAMI』について伝えることが大きなテーマでした。
『旨味』が日本料理が健康食だといわれることに大きく関わっています。
これは、参加者の皆さんに納得していただけたと思っています。
このことについてはまた書きますが、今はとにかく予定を無事に終えて、
ほっとしています。

このあとの予定であるパリへの移動まで約一週間、しばらくのんびり
しますが、フランスらしい食材にも挑戦してみたいです。
南フランスにいながら、ずっと和食が続いていたので、ここらで
ちょっとガッツリとした料理を食べるぞー。
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by happytable-eire | 2012-06-23 23:59 | ・Japanese | Comments(4)

続・料亭の味 in 愛蘭土

昨日、紹介したお料理には実はおまけがあったんです。
翌日の朝もしっかり洋風の朝食をいただいたのですが、
なんと宮崎さんがお昼まで準備してくださいました。

前夜は幸せな夕食をいただいて、その後はお茶を飲みながら
おしゃべりしていたのですが、あんなにたくさんいただいて
お腹いっぱいだったのに、しばらくするとお腹がすっきりして、
まったく胃にもたれるようなことがありませんでした。
だから翌朝にはしっかりとお腹がすいていました。

朝食後は散歩をしたり、プールにはいったりとのんびり過ごし、
1時過ぎにラウンジに行くと、まず出されたのがこれ。
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アイリッシュが見たらぶったまげて、目をそむけそうですが、
私たちにとっては大ごちそう。
鯛のお頭入りのお吸い物です。
一口いただいて、深いため息が漏れました。
お腹の底からほっとする味とは、こういうものですね。
鯛のアラだけでとったお吸い物に上品な味付けがされている
だけなのですが、これがまた絶品。
まさに「お澄まし」というべき、きれいに澄みきったお汁です。
なくなるのが惜しいと思うほどおいしくて、本当にお皿を
なめたい気分でした。
頭も先にローストしてあるので、まったく臭みがありません。
ゆったりとしたラウンジで、私たちのグループだけでしたが、
無言で、魚の頭の身をしゃぶるようにして、たいらげる姿は、
あまり見られたくなかったかも。
それぞれのお皿に残っていたのは、骨とひれと目玉だけでした。

このレストランは、まさにアイルランドのど真ん中。
ミッドランドでも、ここまで新鮮な魚が食べられるという、
アイルランドでの魚料理の可能性を感じました。
よく考えれば、どこへ行っても海から2時間程度で移動できる
島国なんですからね。

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そして続いて出されたのが、見事なかき揚げ丼。
ここまで大きなかき揚げをカラッと揚げるのは、やはりプロの技。
かき揚げは私も時々作りますが、なかなか思うように揚げることはできません。
エビ、ごぼう、人参、コーンの自然の甘みが生きていて、
甘過ぎないつゆがまた、絶妙。
添えられた納豆とオクラの梅肉和えのさわやかさと、白菜のお漬け物が
口をさっぱりとさせてくれて、ボリュームたっぷりのかき揚げ丼が
ペロッと食べられました。
「大満足」というしかない、最高のランチのおまけまでついて、
和食三昧の2日間でした。

サービスをしてくれたポーランド人男性が、かき揚げ丼を「僕の大好物です」
と教えてくれました。
宮崎さんがまかないで作られるそうで、
こんなのを食べられる彼らは何とラッキーなんでしょう。

こういう気取らない、でも自分で作るとなると結構難しいお料理は、
日本人なら誰でも、いつでも食べに行きたいものですよね。
宮崎さんの新しいお店がますます、楽しみです。
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by happytable-eire | 2012-06-02 23:59 | Life in Ireland | Comments(0)

料亭の味 in 愛蘭土

ここ、アイルランドで食べる和食は、友人の家でごちそうになる
以外をのぞいて、ほとんど自分で料理したもの。
私の場合、日本料理を外で食べたことというのは、一度だけ
所属する団体の集まりでダブリン市内の日本料理屋へ行っただけ。
あとはお寿司を日本関係のレセプションなどでいただくくらい。
そういう訳で、お寿司以外の和食といえば、アイルランドに
いる限りは自分で作るのが最高、だったのです。

ところが、ついに私が尊敬する日本人料理人の作る和食を
味わう機会に恵まれ、幸せな時間を過ごすことがきました。
その料理をしてくださったのは宮崎崇さん。
昨年6月、私が開催したチャリティディナーに料理人として
力を貸してもらい、素晴しい仕事をしていただきました。
彼がここ2年ほど働いてこられたレストランをやめられると聞き、
念願かなって、その前に彼のレストランでの食事が実現しました。
私たちのために、和食の特別ディナーを準備してくださって、
和紙に書いた素敵なお品書きまで準備してくださいました。

そして始まったコースは、驚きとなつかしさと新鮮さとが
絶妙にブレンドされた、素晴しいお料理でした。
何とお食事直前にカメラのバッテリーが切れてしまい、
写真は携帯で撮るしかなかったのが残念でなりませんが、
そこはお許しを。

始まりは梅酒のソーダ割。
これでもう、すっかり和食モードになりました。
そして続きに出てきたのが野菜寿司。
納豆、オクラ、白菜の漬物が、見事なお寿司になっています。
オクラはちゃんと出しにつけて味がはいっていますし、
白菜の歯ざわりまで絶妙です。
これにはやられました。
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続いて鯛のカルパッチョ トリュフ添え。
鯛のとろりと甘い脂が口の中でとろけるようで、生魚の本当の
おいしさをたっぷり味わうことが出来ました。
ソースは宮崎さんが長年かけて作り上げた、シグニチュアー
ソース。
甘みと酸味のバランスが絶妙で奥行きがあります。
聞いてみると、シャロットとレモン、オリーブオイルに醤油と
わさびを隠し味に加えてあるそう。
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あんこうのウェストファーレン巻きは、ウェストファーレンの生ハムで
巻いてローストしたものに、和風に炊いた大根とごぼうを付け合わせ、
胡麻だれが添えられていました。
胡麻だれは甘酸っぱくて、なますや叩きごぼうの胡麻だれを
思い出させる、なつかしい味。
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続いてお口直しのスイカのガスパチョ。
トマトベースにメロンの甘み、レッドペッパーの味も利いて、
スイカの清涼感でお口さっぱり。

そしてメインは子羊のピスタチオ炙りロースト、根野菜の蜂蜜焼き
和風マデラソース。
ピスタチオがさくさくと軽さと香ばしさをプラスしてくれます。
ラムは言うまでもなく、しっとりととろけるような柔らかさ。
醤油を使ったマデラソースが、ちょっと照焼きっぽくて、
しっかりと和の風味。
たっぷり添えられた根野菜もとても甘く、それこそ、ご飯に
合いそうなお味でした。
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最後は梅酒のジュレと生姜とトリュフのブリュレ。
ジュレの口当たりが最高で、中に梅酒漬けの梅がそのまま入って
いました。
生姜風味がしっかり効いたブリュレは、間違いのないおいしさ。
ブリュレというフレンチデザートが、生姜のおかげで、これも
しっかり和の風味。
和風のコースの締めくくりにぴったりでした。

白と赤のワインもハーフを一本ずつ選んでいただいたのですが、
特に赤ワインはフルーティーさとスパイシーさが羊にぴったりで、
おいしかったー

本当に幸せというしかないお料理でした。
私は自分で料理して食べていただくのも好きですが、
もちろん、食べるのも大好き。
ごちそうになる時は、すっかり食べる人になって、食べることだけ
を純粋に楽しみます。
そして、おいしい料理をいただく時の幸せは、何にもまさります。
今回のお食事は、これがアイルランドでのことだったから、
また特別なものとなりました。
まるで日本の料亭の味を、アイルランドで味わえたのですから。

実はこのお料理をいただいたのは一週間以上前のことで、
宮崎さんはもうこのレストランにはいらっしゃいません。
ちょっと忙しかったので、なかなか書くことができなくて、
これを見て食べたい、と思われた方、ごめんなさい。

さて、料理人の宮崎さんですが、なぜレストランをやめられた
かというとCorkでご自分のお店を持つための準備に入られるから。
なぜCorkかというと、街の雰囲気とか人とかが好きなのと、
ローカルにいい食材があることがその理由だそうです。
アイルランドには日本料理店とはいえ、日本人がやっているお店が
少ない中、日本人が本当に通いたくなる日本料理店を、
彼が作ってくれるのは間違いありません。
そして、それはアイリッシュにも通じ、楽しんでもらえる味になる、
と私は確信しています。

宮崎さんの今後については、進展があり次第、紹介していきます。
乞うご期待!
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by happytable-eire | 2012-06-01 23:11 | Life in Ireland | Comments(2)