愛蘭土の林檎の木の下で

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日本の初夏の香り 〜茗荷と山椒〜

しばらくの京都滞在から戻って来られた友人から、
「お土産があるから取りに来て〜」と電話がありました。
はいと渡された袋の中には、京都の錦市場近くの専門店で
買ったという利尻昆布と鰹節、お母さんお手製のちりめん山椒
と一緒に茗荷と生の山椒が入っていて、思わず声を上げて
しまいました。
この二つ、私の大好物、というより大好きな香りです。
茗荷と山椒の独特の香りは、私の子ども頃からの食の記憶と
切り離せないくらいすり込まれています。

茗荷も山椒も、田舎の家の裏庭で採れるので、季節になると
祖母が送って来てくれたり、そのためにわざわざ行って、
摘んだりしたものでした。
茗荷の独特の香りや、ピリッと辛い山椒は、子どもの味覚に
合うとも思えませんが、私は小さい頃から好きでした。
祖母がよく「子どもが茗荷を食べたらアホになるで」と
言いましたが、まったく何の根拠もないことですよね。(ほんまか?)
父は自分も好きなので、「そんなことあらへん、食え食え」と
食べさせてくれました。
田舎の庭で茗荷が生え始めるのは8月に入ってからだったので、
いただいたのは初物?それにしても早いですね。

山椒は毎年、祖母が摘んでは佃煮にして送ってくれました。
自分で摘むようになって、山椒の木には刺があって、手が傷だらけに
なること、摘んでから小さい枝から実を外すのも、
とても面倒な作業であることを知りました。
また、山椒を柔らかい佃煮にするには、弱火でコトコトと
気長に炊かないと、かちかちになってしまうことも知りました。
茹でこぼして水につけて、辛みをいい加減に抜くのも、
なかなか難しいことです。
焦がしてしまったり、ぴりぴりし過ぎたり、上手に炊けるように
なるのはなかなかでした。
特に山椒は短い季節しか買えない物なので、最高のお土産。
日曜日にはちょうどお客様だったので、この二つを生かした
お料理を作りました。

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茗荷は3本、薬味として使って香りを楽しむのが一番効果的。
付きだしに作った蕎麦のサラダ風に、少し添えました。
胡麻とそばつゆ、バルサミコ酢にオリーブオイルで作ったドレッシングで、
茹でたおそばとひじきを和えます。
これにネギと茗荷、偽キャビアを添えました。
こういう薬味は、よく切れる包丁で刻むと香りがよく立ちます。
骨董市で買ったお気に入りのうさぎの蕎麦猪口に盛りつけてみました。

山椒は、茹でこぼしてから、みりんと酒を煮切って、
醤油と合わせた照焼きダレに入れてちょっと炊いて香りをうつし、
ネギを巻いて焼いた豚肉にからめました。
豚肉が山椒の爽やかな香りと辛みで、さっぱりとした照焼き。
先日の誕生日にもらったJohn Rochaのお皿に盛りつけたら、
とても良く映えました。
山椒の青みを残すようにしようか迷ったのですが、
それだと山椒の辛みばかりが勝ってしまうと思ったので、
山椒の実が柔らかくなるまで火を通し、いい塩梅になりました。
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John Rochaのお皿はクリスマスショッピングの時に見つけて、
一目惚れしたのをアピールしておいてよかった。
John Rochaはダブリン在住のデザイナーで、ポルトガルと中国の
血を引く方だそうです。
洋服がメインですが、テーブルウェアからインテリア、雑貨いろいろ、
幅広い商品が展開されています。
このお皿は、黒の本体に深みのある赤が効いていて、
赤い部分の質感にも、何となく和のテイストがあります。
こればかりが並ぶと多少うるさいかもしれませんが、
テーブル全体にはアクセントにもなるし、料理も映えるように
思います。
もともと赤というのは、食欲を増進する効果があるようです。
どんな赤でもというわけではありませんが、グリーンの葉っぱも
補色で綺麗に見えます。
私は漆器が好きなので、こういう赤には魅かれるのかもしれません。

覚え書き 日本の初夏の香りメニュー
○付きだし 蕎麦のサラダ風 胡麻ドレッシング
      プチトマトの酒マリネ
      スモーク鯖のパテ 
       ブラウンソーダブレッドとセロリスティック添え
      セロリアックのサラダ マスタードドレッシング
○焼き物  シートラウトの塩麹漬け
○煮物   蕪の煮物 あんこうの出汁で
○揚げ物  天ぷら あんこう、三度豆 
        抹茶塩、柚子胡椒ソース
○止め肴  ブロッコリーのおひたし 
○食事   白ごはん 湯葉のお吸い物 蕪の塩麹漬け
○水菓子  柚子のシャーベット

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by happytable-eire | 2012-05-22 23:59 | ・Japanese | Comments(0)

Leak and Red Onion Tart

ホントにこれでも5月中旬かと思うほど、寒い日が続いています。
19日は私の誕生日なので、この日の気候はだいたい誕生日の
思い出と一緒に憶えています。
こちらへ来て4回目の誕生日を迎えるわけですが、ここまで
寒いことはなかったと思います。

今日も一日、うっとうしい天候で、何となく気分もさえません。
買い物に行く気にもならなかったので、夕食は冷蔵庫の残り物で
何とか済ませたのですが、これがなかなかうまくいきました。
幸いお野菜は週一のデリバリーが届いたので、新鮮なサラダも
添えられました。

夏には長期でこちらが留守になるのもあって、食材整理も
今の大きな課題。
冷凍庫に眠っていたShortcrust Pastryを冷蔵庫に移して
解凍していたのでした。
これさえあれば、あとは残り物でタルトができます。

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Shortcrust Pastryとは、タルトやキッシュに使われる生地で、
Puff Pastryのように層になってふくらむことはありません。
英語の”Shortcrust”というのは、「さくさくした」食感をいい、
甘いタルトにも、塩味のタルトにも使われます。
層になるパイ生地ほど作るのは難しくはないので、たいていは自分で作りますが、
かなり前にお買い得商品で買ったのが、ずっと残っていたようです。

フィリングには、一本だけ残っていたリークと赤玉ねぎを薄切りにして
バターでじっくり炒めたものと、これも冷凍庫に残っていたチョリソー。
あとは卵と生クリームを合わせたのを流して、オーブンで焼き上げました。

とろりと甘い玉ねぎとリークに、チョリソーがアクセント。
卵もいい具合の柔らかさでした。
生クリームが少し少なかった分、牛乳を足したので、
フィリングは柔らかく、軽く仕上がりました。
生地はちょっと伸ばし方が足りなくて、厚めになっていますが、
先に軽く空焼きしたので、底もさっくり焼き上がりました。

数日前にたっぷり作って残っていたビーツのサラダと、
届いたばかりの新鮮なフリルレタスとサラダミックスを
軽いドレッシングで和えたのも添えて。

ちょっと気分を変えて、夏らしいガラスのお皿に盛りつけて。
このお皿はフランスで買ってきて、とてもお気に入りなのに、
なぜかあまり出番がありません。
アイルランドの夏はホントに短いからなあ。
こんな天気が続くと、今年は夏が来るのかさえ、心配になって
しまいますが・・・

明日も雨で、今日よりも寒くなりそうな予報です。

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by happytable-eire | 2012-05-18 23:59 | ・Irish and others | Comments(4)

ベジタリアン餃子

昨日から一泊で友人宅に行ってきました。
この数ヶ月、彼女には辛いことが続いているので、
元気づけようともう一人の古い友人と計画したわけですが、
私たち夫婦も含めて、実は日本で繋がった仲間です。
20年以上前の日本で出会い、アイルランド、日本、米国と
長い間離れていたのですが、アイルランドでリユニオン。
私にとって、本当に大切な友人たちです。
一緒に出かけた友人はベジタリアン。彼女のリクエストで
私がベジタリアン和食を料理することになりました。

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特別にリクエストがあったのが、彼女の大好物、納豆餃子。
初めは普通の豚肉の餃子とベジ用のを作る予定だったのですが、
皆で気兼ねなく一緒に食べられる方がいいと思って、お肉はやめて、
全てベジ料理にすることにしました。
ベジ用の餃子は、私は豚肉の代わりにレンズ豆を使います。
茹でて粗つぶしにして水気をしっかり飛ばして醤油で下味をつけておき、
白菜、生姜、にんにく、ワイルドガーリックをニラの代わり入れて、
あとは普通の餃子と同じように作ります。
餡をしっかりした味にしておく方と、豆でも味がぼけません。
以前、パーティーケータリングでベジ用として作った時も大好評でした。

納豆餃子は叩いた納豆とネギ、にんにくを混ぜて醤油で
味をつけてから皮に包みました。
居酒屋などの納豆餃子は揚げてあることが多いですが、
昨日は全部焼き餃子で食べました。
とてもしっかりした鉄鍋があったので、上手に焼けました。

他には、ワサビ菜のおひたし、ブロッコリーの脇芽の炒め物、
白菜と蕪のサラダ マスタードドレッシング和え、
ご飯と味噌汁。お味噌汁もベジ用に昆布だしだけで。
あとはビールと日本酒も。
友人はうらやましいほど和食器のいいのをたくさん
持っているので、盛り付けもばっちり決まりました。
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気が置けない友人たちと、昔話もはずんで、とても楽しい夜になりました。
自分で言うのもなんですが、おいしい食事が話にはずみをつけたのは間違いありません。
こうして料理を喜んで食べてもらえることが、私にとってはとても幸せなこと。

3日早くですが、ついでに私の誕生日も祝ってもらって、
これもまた、幸せなことでした。
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by happytable-eire | 2012-05-17 23:59 | ・Japanese | Comments(4)

おうどん

妹が持ってきてくれたはずなのに、しばらく見つからなかった
生讃岐うどん。
棚の中から何気なく、ひょっこり出てきました。

麺好きの私ですが、こちらに来て以来、うどんといえば乾麺。
生うどんとは食感が違います。
もちろん生といっても日持ちのするタイプなので、ホントの
生とは違いますが、このもちっとした食感は、乾麺では絶対に
味わえません。
昨日からちょっと風邪気で、あたたまりたかったのもあって、
お昼に温かいおうどんにしました。
京都の人は何にでも「お」をつけるので、私にとっても
「うどん」より「おうどん」のほうが、しっくりします。
関西の人にしか分からないと思いますが、「お」がつくと
「うどん」のイントネーションが変わって、なんだか
やわらか〜くなります。
一時、讃岐うどんが大流行りしましたが、京都のおうどんは
柔くていいんです。

とっておきの冷凍している煮干しと、鰹節とさば節の混合節を、
じっくり煮出して、おいしいだしを取りました。
上品すぎる鰹だしより、煮干しとかさば節を使ったコクのある
だしの方が、おうどんには合うと思います。
夏にはこちらを留守にするので、使いかけの食材や乾物を
できるだけ使い切りたいのもあり、ちょっと贅沢に、
たっぷり使いました。
具は乾燥の岩のりと、ネギにおろし生姜を少々。
出汁の味で、あっさりといただきました。

京都のおうどんのお汁は、だしをしっかり効かせて、
薄口醤油で、色の薄いのが特徴。
私は塩気はしっかり、甘みの少ないお汁が好きです。
砂糖は入れずに、これもとっておきの三河みりんをちょろっと
加えると、まろやかな甘さが出て、味がグンと変わります。

意外に思われるかもしれませんが、京都という町は
職人と商売人が多く、お昼は忙しくて食事の準備に
手がかけられないので、手軽に食べられるうどんやパンの
粉食文化が発達したのだとか。
私が子どもの頃は、近所のお豆腐屋さんで茹でうどんも
売っていて、よくお使いに行かされました。
おばちゃんがおうどんをお箸で器用にひと玉ずつ取って、
白い油紙に包んでくれたのがなつかしい。

また、そこら中に小さなおうどんやさんがあって、
お昼ともなるとご近所への出前で忙しくしておられました。
私の育った西陣の町も、機織り屋さんや商売の家が多く、
実家も着物関係の商売をしていたので、お昼にはしょっちゅう
おうどんの出前を頼んでいたものです。
蕎麦の専門店でない限り、麺類すべて出してるお店でも、
京都では「おうどん屋さん」と呼びますね。

子どもの頃の私の好物は卵とじとしっぽく。
京風のしっぽくうどんは、椎茸の甘煮と板麩、かまぼこ、
三つ葉がのってましたが、今から思うと、子どもにしては
えらく渋い好みです。
甘めに煮付けたお揚げさんは苦手でしたが、うちの近所の
おうどんやさんのきつねうどんは、お揚げが刻みで、
あまり甘くなくて、それも好きでした。
きつねうどんをあんでとじた、たぬきうどんは母の好物でした。

ちょっとノスタルジックになってしまいましたが、
おうどんというのは京都の人の暮らしに欠かせませんでした。
そういう町のおうどん屋さんは、どんどん姿を消し、
京都の家の近くに今も残っているお店は、地元の人より、
観光客でにぎわっています。

お蕎麦の方が好きな時期もありましたが、私もやっぱり今は
おうどんの方を選びます。
久しぶりに食べた「おうどん」、あー満足。
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by happytable-eire | 2012-05-08 23:59 | ・Japanese | Comments(10)

塩麹ローストビーフ

塩麹の試行錯誤は続いています。

これまでは、肉にしても魚にしても、切り身で漬けていたのですが、
今回はビーフの塊肉を漬けてみました。
Housekeeper’s Cut と呼ばれる肩肉の部位。
キロ当り10ユーロほどと、その名の通りとてもリーズナブル。
少し堅い筋が入っていますが、ローストにも、切って使うことも
あります。
先日はお買い得商品だったので、750gほどの塊で6ユーロくらい。

塩麹大さじ1程度をすり込んで、ジップロックに入れて、
しっかり空気を抜いて漬けること3日。
肉に対して塩麹の量は、敢えてかなり少なめにしています。
塩麹の量が多かったり、漬け込み時間が長くなると、粕漬けの
ような風味が出ることがありますが、このローストビーフは、
そういう和の風味を出したくなかったから。
でも肉を柔らかくしたいので、漬け込む時間はじっくり取りました。
香味野菜なども一緒に漬け込んでもいいかもしれませんが、
今回はストレートにお肉の味をチェックしたかったのでシンプルに。

塩麹はきれいに拭き取って、もう一度塩とブラックペッパーをして、
フライパンでこんがり焼き目をつけてからオーブンへ。
150℃と低めの温度で焼きました。
トータルで小一時間くらいだったかな。
この頃は温度計で肉の温度を測って、焼き具合を判断するように
しています
ミディアム〜ミディアムレアに仕上げたかったので、60℃を越えた
くらいでオーブンから出して休ませました。
そして切ってみたら、こういう感じに仕上りました。
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驚いたのはその柔らかさとジューシーさ。
塩分も全体に適度に入って、口溶けのいいこと。
フライパンで焼いた時に、発酵から来る甘い香りがわりと
出ていましたが、まったく気になることなし。
ほんの少量の塩麹で、ここまで柔らかくなるとは・・・
おそらく、これまで私が作ったローストビーフの中でも、
最高の出来だったと思います。

低温で焼いたので肉汁もほとんど出ず、グレービーは少ししか
作れませんでしたが、ホースラディッシュを添えるだけで十分。
最近はお肉を食べる量が減っていますが、おいしさについつい、
食べ過ぎてしまいました。

残ったお肉は、当然、翌日のランチのサンドイッチに。
ああ、贅沢。

アイルランドの上質の牛肉と、日本の食文化の融合です。
上質といっても、スーパーの安いお肉。
でも、まったくそんなことを感じさせない上等ローストビーフに
なりました。
塩麹、恐るべし!

塩麹の働きについては以前の記事をご覧下さい
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by happytable-eire | 2012-05-03 23:59 | ・Japanese | Comments(2)