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愛蘭土の林檎の木の下で

granna.exblog.jp

Non-butter Scones

スコーンといえば、粉にバターを切り込んで、
ミルクでまとめて型で抜いて焼く、英国伝統のお菓子。
私にはもうずっと使っているレシピがありますが、
もともとのレシピがどこのものだったのかも、
もう憶えていないほど、なじんだレシピです。
使う素材に合うよう、配合も変えて作り上げました。
周りはカリッとしながら、中はしっとりふんわり、
口溶けがいい生地。
スコーンというと、もそもそした食感のものも多く、
あまり好きじゃないという人が結構おられますが、
自分で言うのもなんですが、私のスコーンは本物でした。
京都の楽天堂さんで売っていただいていた時も、
けっこうな人気だったと思います。
割れ目から上下半分に割って、温めてバターやジャム、
クリームをつけていただけば、ティータイムに最高。
私にとってスコーンは自慢の一品でした。

ところがアイルランドへ来て以来、そのレシピでは
気に入ったスコーンが安定して焼けなくなっていました。
これまでも、その試行錯誤については何度か書きました。

スコーンはシンプルな分、素材の質がストレートに
味に出ます。
小麦粉、バター、ミルク、ここで手に入る材料の質が
日本のものと比べて低いとは、とうてい思えないので、
レシピが材料に合っていないということなのでしょう。

先日、買ったまま忘れてしまって消費期限が過ぎた
生クリームがありました。
封が切っていなかったので、傷んではいないのですが、
容器がややふくらんで、発酵がすすんでいるようでした。
アイルランドの乳製品はで高品質。
牛乳は日本のほとんどのもののように、高温殺菌していないので、
ちゃんと 自然に酸っぱくなってしまうことも多いです。
生クリームも同じで、自然に発酵してしまうことがあります。
こういう時はそのままホイップすることはやめて、
料理やベーキングに使えば、発酵のコクも出て、
かえって風味が出ることも多いです。
(雑菌が混入して腐敗していたら、苦くなるのでわかります。
こういう時は、即廃棄。)

そこでふと思い出しました。
私が初めて教わったスコーンのレシピは、生クリームを使い、
バターを使うものではなかったこと。
私の料理の基礎を作ってくれた安田倶子先生の教室でのことで、
今から思うと、こちらのスコーンとはかなり違いますが、
日本で当時売られていた、もそもその(Afternoon Teaのとか)
スコーンよりは、数段しっとりとしておいしかったのです。

生クリームでスコーンを作ってみよう!
当時のレシピは全く憶えていないので、勘で適当に配合。
上部に厚さ2cmくらい固まっている乳脂肪分もたっぷり入れて
牛乳と混ぜ、生地を作って焼いてみました。
結果は上出来。
しっかりコクもあって、しっとりおいしいスコーンが焼けました。
見ての通り、まわりはカリッとした焼き上がり。
こねる時はちょっとコツが必要ですが、簡単だし、悪くないかも。
こちらの生クリームは小さいのでも250mlや300ml入り。
料理などに使って、半分ほど余ってしまうことも多々あります。
そんな時の利用法としても重宝です。

日本では、ナチュラルな生クリームがなかなか買えなくなりました。
植物性のは言うに及びませんが、乳脂肪のでも、保存料や安定剤が
添加されているものがほとんど。
実は日本の多くのケーキ屋さんで使用されている生クリームは、
ほとんどそういうものです。
ホイップクリームを絞り出した時の形状を数日保ち、
かつ日本の温かい気候の中でも傷まないようにするには、
そういう添加物が必要なのでしょうね。
たしかに日本のスイーツのレベルはますます高くなり、
デコレーションの美しさなど、ここのものとは比べ物に
なりませんが、こちらの残念なデコレーションも、
本質を考えると許せてしまうところもあります。

生クリームについてのうんちくはさておき、ノンバターのスコーン、
手軽さと残り物利用のために、私のスコーンを焼く回数が増えるかも。
Non-butter Scones_e0149801_21463490.jpg

by happytable-eire | 2013-06-21 23:59 | Baking