愛蘭土の林檎の木の下で

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『ほんもの』のトライフル

先日のケータリングのデザートでトライフルを作りましたが、
その後日談を。
トライフルのベースにはスポンジケーキを使いますが、私はいつも
バターの入らないスポンジを使います。
日本では簡単にしたい時にカステラを使った事がありますが、
カステラの甘さに合わせて、ドライなワインをしみ込ませて
甘みのバランスを取ると、全体がうまくまとまりました。
たかがスポンジと思って市販のを使ったりすると、やはりそれが
仕上がりにひびいてしまいます。
なのでよほど時間がないとき以外は、スポンジも自分で焼いたのを
使います。

先日のトライフルのスポンジも自分で焼いて、焼き色のついた
部分はすべて切り落としてしき込みました。
切り落とした端切れを捨てるのももったいなくて取っていましたが、
そのまま食べるにはパサパサでおいしくありません。
そこで試作も兼ねて、ゼリーバージョンのトライフルを
作ってみました。

トライフルには材料によっていろいろなバリエーションがあるので、
私のレシピでも3種類ありますが、やはり一番よく作るのは
クラシックなシェリートライフル。
スポンジにシェリーをしみ込ませて、熱いカスタードを流しますが、
先日のお客様は若い女性が中心だったので、アルコールの代わりに
ラズベリージュースを使いました。
そのジュースが残っていたので、少し砂糖を加えて甘みを調整し、
ゼラチンを溶かして冷やし固めておきました。
ラズベリージャムを薄く塗ったスポンジと、冷凍庫に残っていた
ラズベリーをバラバラにしたの(手で軽く崩すと一粒ずつになります)と、
固まったゼリーをクラッシュしたのを順に重ねていきます。
スポンジには甘めのロゼワインをふりかけてしとらせます。
冷蔵庫でもう一度冷やして泡立てた生クリームを流して仕上げ。
カスタードクリームのとはまた食感が違いますが、ワインの
しみ込んだスポンジとゼリーで軽く仕上がり、これもまたおいしい。

英語の”Trifle”とは『価値のない』とか『つまらない』という意味。
もともとはあり合わせの材料を使って作った家庭の味だったのでしょう。
そういう意味では、今日のようなのが『ほんもの』のトライフルです。
こちらの人にとってはおばあちゃんの味だとよく聞きますが、
私にとってはトライフルは立派なおもてなしデザートです。

e0149801_2340572.jpgはじめて私にトライフルを教えてくれたのは、京都に住んでいたアイリッシュの友人でした。
彼女が講師を引き受けたアイルランド料理教室を手伝うために、彼女の家で試作をした時の事です。
そのトライフルはカステラと缶詰のみかんのシロップをゼリーにした、お母さんが小さい子どものために作るような、まさに家庭的な味でした。
実はその友人は昨年、不慮の事故で亡くなってしまったのですが、彼女には今も感謝の気持ちでいっぱいです。
なぜなら、そのアイルランド料理教室が私がお料理を教える側に立った初めての経験だったから。
ゼリーのトライフルを作りながら、そんな事を思い出して、ちょっとセンチメンタルになった午後でした。
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by happytable-eire | 2010-03-03 23:59 | recipes | Comments(0)